LEARNING LOG — RAG & Acceptance Criteria

AIの答えの質は、
依頼の設計で決まる。

2026年7月7日の早坂さん定例で話した、RAGの仕組み・NotebookLMの限界・精度の測り方・受け入れ条件の書き方。社内のAI活用を判断するときの基準を、この1ページにまとめました。

Date2026年7月7日(火)
Members黒崎 勇也 / 早坂 充
Context7/9 開発相談MTG・社内ナレッジ×生成AI提案の論点整理

KEY MESSAGE — Four Takeaways

01

「社内データにAIで聞きたい」は、まずNotebookLMで大半解決する。手段の分岐は「実作業の有無 × コスト × 精度」。

02

AIの品質は、受け入れ条件を決定論的に書けるかで決まる。

03

素のAIに学習ループは無い。振り返り→CLAUDE.md・スキルへの追記を工程に組み込む。

04

本当の痛みの特定と構造の作り替えは、AIにはできない。それが人間=eapの売り物

01

RAG — Retrieval-Augmented Generation

AIは覚えるのではなく、
参照して答える。

AIモデルは学習カットオフ以降の知識を持たない。データを持ち続けるとモデルが重くなるからです。そこでモデルとは別に「データの置き場(DB)」を立てて、回答のたびに参照させる——この機構がRAGです。

Obsidianに知識を外部化しておいて、必要なときに読み込むのと同じ発想です。

Structure

AIモデル学習済み知識(カットオフあり)
参照
データの置き場(DB)社内資料・議事録・ナレッジ
生成
最新情報を踏まえた回答モデル本体は軽いまま
02

NotebookLM — Where It Ends

質問して答えが返るだけなら、
だいたいNotebookLMで足りる。

Scope

できること

参照して答えるまで

  • 資料を詰め込んでの参照Q&A
  • Google Drive接続での範囲指定
  • ヘルプデスク・入社オンボーディング

できないこと

答えた先の作業

  • 外部連携(ほぼ不可)
  • エージェントとしての実作業
  • 作業の自動実行・ワークフロー化

限界が来るのは「そこからAIに作業をさせたい」とき。そこで初めて、次の分岐に進む。

03

DECISION — Which Tool, When

最初の分岐は、
「実作業があるか」。

Branch

AIに実作業(エージェント作業)をさせたいか?
なし

NotebookLM等の既存ツールで足りる。作らない・買わないで解決するのが最安。

あり

エージェント基盤(Claude Code等)や個別開発を検討。コストと精度要件で絞り込む。

実作業の有無× コスト× 精度

AIは失敗しても再実行コストが低い。人間のエネルギーより圧倒的に安いので、「物量で押す」戦略が取れる。

04

ACCURACY — Recall × Precision

精度は、
再現率と適合率の掛け算。

Two Axes

Recall

再現率

拾うべきものを、どれだけ拾えたか。

例:医師が海外由来の病気を知らない → そもそも候補に挙がらず、再現率が落ちる。

Precision

適合率

拾ったものの中に、間違い(ノイズ)がどれだけ混ざっていないか。

例:知識はあるのに別の病気と誤診する → 候補は出たが外れて、適合率が落ちる。

両者はトレードオフ。カバー範囲(知識・選択肢)を広げると再現率は上がるが、選択肢が増えてピンポイントで当てにくくなり、適合率が下がる。このバランス調整こそ技術で解決する領域。検証は「人間・AI・プログラム(計算で判定できるもの)」のどれで行うかを決める。

判定確率0.5はコイン投げ(ランダム)と同じ。閾値の設定に意味を持たせる。

05

EMBEDDINGS — Why Prompts Work

プロンプトとは、
概念を教えて誘導する行為。

文字情報は「キーワードから連想される概念」として数百〜数千次元のベクトルに分解されます。成分が近い=意味が近い。モデルの「◯◯億パラメータ」はこの次元数のことで、x・y・zの軸が無限に増えていくイメージです。

回答の生成は「次に来る語」の確率分岐の連続。連想ゲームで軸を広げ、ありえないものを外しながら1つの回答に絞り込んでいます。

だからこそ、プロンプトで概念を渡すほど、AIは正しい回答に辿り着きやすくなる。ここを理解するとAIの使い方そのものが上手くなります

06

CONTEXT — Draw the Line

全部を1箇所に、
ぶち込まない。

GPTの「プロジェクト」=境界の単位。境界の中に蓄積した文脈(過去の議事録など)を踏まえた回答はできますが、新規プロジェクトには持ち越されません。

1箇所に詰め込みすぎると、ノイズが増え、過去のバイアスに引っ張られ、別の観点で見る力が落ちます。人間と同じで「全く別の人に意見を聞く」が有効——あえて境界を分ける、別モデル(Claude・Gemini等)でセカンドオピニオンを取る、が実務の型です。

07

WORKFLOW — Checkpoints & Loops

中間チェックを、削る所と
残す所を見極める。

個人の作業図がチームでは何本も連なります。工程を繋げて中間を削れる箇所と、品質のブレを防ぐためにチェックを残す箇所の見極めが設計の肝。ものづくりの検品と同じで、途中のチェックを飛ばすと欠陥品が後工程に流れ、後工程の作業が増えます。

Team Pipeline

工程 A下調べ・整理
検品
工程 B制作・実装
工程 C仕上げ・納品

締めるときに振り返り、知見をCLAUDE.md/スキル/Obsidianへ書き残す。素のAIに学習ループは無い。「このパターンは失敗しやすい」を書面化して、次回に効かせる。

08

ACCEPTANCE CRITERIA — The Core Lesson

「これができたら完成」を、
依頼とセットで渡す。

タスクを依頼するとき、「これができたら完成とみなす」という受け入れ条件を一緒に渡す。条件が具体的かつ決定論的(何回やってもブレない)であるほど、AIは失敗しなくなります

AIの動きは非決定的でも、ゴールさえ固定されていれば、どのルートを通っても辿り着けるからです。

Example — LP制作の受け入れ条件

必須のリンクがすべて入っている

計測タグが入っている

ブラウザのコンソールにエラーが出ない

ボタンを押すと正しいページに遷移する

抽象度の高い依頼でも、受け入れ条件をパターン化して固定しておけば毎回書かずに済む。条件の整理自体もAI(ブレインストーミング系スキル等)に任せられる。

09

PLUGINS — Train Your Tools

スキルは、入れるだけでは
発動しない。

スキルの発動はキーワード依存。Claude Codeはコード向けに最適化されているため、ビジネス用途では引っかかるキーワードを意識するか、意図的に発動させる必要があります。

自分用にカスタマイズ(調教)して初めて真価が出る。そしてプラグインは入れすぎると喧嘩するので、用途で使い分ける。

10

HUMAN WORK — What AI Cannot Do

絆創膏を貼るのではなく、
構造を作り替える。

上層部の言う課題と現場の痛みは乖離しがちです。現場は本音を言いにくく、対策は「人を増やす・金で解決」に流れやすい構造があります。

提案すべきは対症療法ではなく、痛みが発生しない構造への作り替え。この「本当の痛みの特定と構造化」はAIにはできない——人間がやるべき領域であり、eapの提供価値そのものです。

ACTIONS — What Happens Next

学びを、
実務に落とす。

アクション期限完了基準
岡久様向け提案資料の作り直し(骨格維持・ヒアリング設計重視)7/9(木)まで次回MTGでレビューできる状態
AI開発相談メンバーを来週MTGに追加7/13週招待・案内送付済み
LP等の定型タスクの受け入れ条件をパターン化しスキルに固定7月中依頼時に自動適用される状態
デイリーの振り返り→CLAUDE.md/スキル反映のループ運用運用中日次学習サイクルで知見が蓄積されている
ビジネスサイド向けプラグインの選定(入れすぎ注意)任意候補リストの確認

SOURCES — Read the Full Notes

全文と議事録は、
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